Wakamonoiz

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アデオジャパン

魅力は、メンバーが「困っている人を助けたい」というストーリーを好きでないところ。それは、活動に対してプロフェッショナリズムを感じるということなんです。

現地での活動

前田さん自身の研修の経験を、お聞きしてもいいですか。

前田:はい。私は4か月、2011年の8月の頭から12月の頭に研修に行っていました。大学2年生のときですね。場所としては3か所にいました。基本的にどの研修生も行く場所は1か所で、私も最初1か所の予定で行ったんです。その1か所というのがダダーブ難民キャンプでした。ケニアに位置し、ソマリア難民を受け入れている、今、世界最大の難民キャンプです。この難民キャンプは1991年からあったので20年くらい経っていて、今だいたい47万人くらいが住んでいますが、2011年の「アフリカの角危機」と呼ばれるソマリアの大飢饉のために1年間で16万人以上が流入したと言われています。47万人のうち16万人が去年1年間で流入したという緊急事態だったんですけど、そんなところにぽんっと行ってきました。

本当はそこに4か月滞在する予定だったんですけど、援助関係者の誘拐事件などがあり、治安が急激に悪化したので、ナイロビに戻り、そのままナイロビに1か月くらいいて、その間はずっとナイロビのオフィスに通っていました。最後に2週間だけウガンダとの国境地帯にあるブシアのオフィスに出張しました。

すると、ダダーブ難民キャンプには2か月いたのですか。

前田:2か月半弱ですね。それぞれの場所で、プロジェクトごとに動いていました。ダダーブにいた間は、栄養調査のプロジェクト、「Sexual and gender-based violence(SGBV)」というレイプ被害や家庭内暴力を扱う分野のプロジェクトと、教育のプロジェクトのだいたい3個くらいですかね。HIVのプロジェクトも動いてはいたんですけど、私は状況を知るくらいだったので、関わったとは言えないかな。

ナイロビにいる間はオフィスワークでした。ケニアをものすごく途上国だと思っている人に言うとけっこうびっくりされるんですけど、ナイロビは本当にオフィス街で、みんなスーツを着てパソコンに向かっている。そういうところで提案書を書いたり、記事を書いたり、オフィス内の雑用をやったり、たまに出張に行ったりしていました。

ブシアのオフィスでは、新しく水と衛生のプロジェクトの立ち上げの時期だったので、その立ち上げを補佐する立場で、主にそのプロジェクトに関わっていました。

現地に行く期間は選べるのですか。

前田:いつでも、行きたいときに、好きな期間だけ。でもおすすめとしては3か月以上と言っています。

村岡:この研修の狙いは、研修生の成長ももちろんですが、アデオジャパンとしては、ただの足手まといを送って数年後にその経験が還元されるというだけではなくて、送った人が向こうでそれなりにきちんと仕事ができるというのが大事だと思っています。短期間で行くと、何も残せず、ただ現場を見ただけで帰ってくることになることが多いので、なるべく長期間の研修を勧めています。

確かに2週間~1か月だと見るだけで終わってしまいそうですが、3か月以上になってくると現地になじんでくるのでしょうか。

前田:私が研修に行くとき、前の研修生さんに「現地の環境に慣れるのに1か月、その後アデオの職場での人間関係に慣れるのに1か月かかって、ようやく自分で何かやってみようと自分でプロジェクトを立てるっていうのが3か月めになるんだ」と言われました。その方は3か月めになったところで帰ってきたので、「これからだ」というときに帰ってこなきゃいけなかった、すごく後悔していると言っていました。

私はそれを聞いて「そんなに時間かかんないでしょ。あなたがかかりすぎなのよ」くらいに思ったんです。(笑)実際に行ったときも、現地の環境にも人間関係にもすぐ慣れて全然平気と思っていたんですけど、後から振り返ってみると、やっぱりそれぞれ1か月ずつかかって、3か月めから自分で動いてたなという実感は強くあります。

村岡:そんなこと思ってたんだ。(笑)

日本での活動

日本ではどのような形で活動していますか。


村岡:大きく言って、研修生の派遣事業が一つ、国内でイベントを打つ活動が一つ、アフリカにおけるBOPビジネスのための企業のプラットフォームを作るという事業も2011年の夏くらいから動いています。また、アドボカシー事業にも積極的に取り組みたいという声が最近出ています。

イベントはどういったところに行くのですか。

村岡:いろいろあります。たとえばパラカップというチャリティマラソン大会の運営に共催団体として参加しています。パラカップの収益金は運営に対する貢献度に応じて共催団体に配分されるので、そこで得られた収益金はADEO本部に送られて、ADEO本部のプロジェクトに使われます。また、毎年、外務省が主催するアフリカンフェスタというイベントでもブースを出展して、ケニアの民芸品を販売したり、広報活動をしたりしています。

そうするとイベントというのは資金集めみたいなところがあるのですか。

村岡:この2つ、特にパラカップは資金集めが大きな目的になっていますね。毎年やっているイベントはこの2つくらいなんですけど、資金集め以外のイベントも。今はソマリア関連のシンポジウムを開くため日本ソマリア青年機構と計画を練っていて、難民映画祭とコラボできないか、UNHCRとも話し合っています。

前田:イベントにも毎年あるイベントと単発のイベントがあります。パラカップ、アフリカンフェスタ、ちょっと系統は違いますがクリスマスパーティとか、毎年あるイベントは資金集めという目的が大きいです。単発でやるのは、今走っているソマリア・シンポジウムや、以前にはアイセック東大委員会と共催イベントを開くなど、他団体と一緒にやることが多いですね。それから、小中学校に訪問授業に行くというプロジェクトもこの秋頃にやることを計画しています。

日本での活動は、部門分けはせずに全員で活動しているんですか。役割分担などは。

村岡:イベントごとにチームを組みます。たとえば、ソマリア・シンポジウムのためのチームはアデオジャパンのメンバーと日本ソマリア青年機構のメンバーで組まれていて、基本的に話し合いや交渉などはそのチームで担当します。

前田:アデオジャパンの中に研修事業部とか、事業企画部とか、イベント統括部とか、人事とか財務とか、いろいろあるんですよ。イベント統括部の中にさらに、ソマリア・シンポジウムだったり学校訪問事業などがあって、それぞれのチームに4人〜5人いる感じですね。

その中でとりあえず村岡は、…イベント統括部長?…で、私は研修事業部部長?

村岡:すごい違和感のありそうな言い方(笑)

前田:でも私もイベントにも入っているし、いろいろ掛け持ちでやっています。

村岡:自分も広報の仕事もしていますし。けっこう横断的です。

前田:だから、全員で何かやるということはなくて、それぞれのチームや事業部ごとに動いて、月1回、全体が集まるときに進捗報告をするって感じですね。

メンバー数はどのくらいですか。

前田:メンバーは20人〜25人いて、そのうち6人が社会人、それ以外が学生です。

社会人の方の関わり方というのは。

村岡:学生が活動の主体になっていて、社会人はアドバイザー的な関わり方が多いです。たとえば全体ミーティングで報告したことに対して「お前そこ違うだろ」と指摘が入ったりだとか、自分たち学生が作って出した企画書に対して「いやこれ駄目」って言ったりとか。(笑)

前田:たぶん学生団体との違いは、社会人が、知識や経験を積んできた立場から、効率やクオリティを上げる点でプロボノとして補佐してくれるところですかね。それから企業を訪問するときは、社会人のネットワークを私たちに還元してくれたり、一緒に行ってくれたりする。

アデオジャパンの魅力

アデオジャパンのどこに魅力を感じますか。

村岡:まず単純にこの団体が楽しいっていうのがあります。この団体、メンバーが面白いんですよね。人との関わりが楽しい。

こういうことをやってないとまず出入りしないような場所とか、関わらないような人とかと一緒に活動できるっていうのも面白さの一つだと思います。たとえば、この団体に入ってなかったらまずUNHCR駐日事務所に行くことはなかったと思うし、TICAD V(第5回アフリカ開発会議)に向けたNGOコンタクトグループの会合に出ることもなかったと思います。そういう、…別世界、って言ったらおかしいかなあ。アデオジャパンに入らなければ見ることがなかった世界を見ているというのは、とても面白いことだと思います。

前田:私はアデオジャパンの魅力、他の団体との違いは、メンバーのほぼ全員が「困っている人を助けたい」というストーリーを好きでないところなのかなあと思います。それってネガティブな意味じゃなくて、活動に対して責任だったりとかプロフェッショナリズムを感じるということなんです。アデオジャパンのメンバーはみんな慈善心溢れる善人というわけじゃないんですよ。確かに世の中にはそういう人もいるし、それはすごいことだと思うんですけど、アデオジャパンはそういう団体じゃないからこそ、「日本のNGOってなんだっけ」「そもそもNGOってなんだっけ」というところに立ち返って考えられる。そこから、存在意義、活動の意義をしっかり冷静な目で見られるっていうのが私は魅力だと思います。やみくもに人を助ける人たちじゃないということが、団体の面白さ、活動の面白さに関わってくるのかな、と。

アデオジャパンの設立者が「先進国の人間がいわゆる国際協力に関わることに対する違和感を、古株のメンバーも新しいメンバーも全員で共有しながら人材を育成できる場にしたい」ということを言っていて、私はそれにすごく共感したんです。やっぱり入ってくる子は最初「国際協力にちょっと興味があります」「アフリカに興味があります」という子が多いし、私自身もそうでした。でもいろいろ活動して、実際に現場にも行ってみて、それほど生易しいものじゃないし、人を助けたい心だけで出来るものでもないということを強く実感しました。先進国の高等教育、大学教育という、世界的にはすごく上の方の教育を受けた人間として何ができるのかということを学ぶ場をアデオジャパンは提供していると思います。そういう意味で、しっかりした視点を持たせてくれたところなのかな。
(続く »)

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Written by wakamonoiz

2012年9月30日 at 1:40 AM

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