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How to Protect Yourself

大きいことをしようとしたわけではなくて。困ったときに自分たちの母国語で書かれている記事があれば、心の支えになるのではないかと。

How to Protect Yourself :鈴木敬大さん、新田香さん、冨田早紀さんインタビュー

【特集 3.11】

東日本大震災後、若い世代からもボランティアや募金など様々な取り組みが起こりました。

被災地から離れていても、「何かしたい」と思った方、実際に行動に移した方も多いのではないでしょうか。

地震発生から半年以上が経った今、これからの社会を作る私たちに何ができるのか。若者による震災への取り組みを特集してお届けします。

今回は【特集 3.11】第一弾として、地震発生翌日から多言語に翻訳された災害時マニュアルを公開し、Twitter上などでも話題になった “How to Protect Yourself” の活動をご紹介します。
サイト運営に携わる鈴木さん、新田さん、冨田さんにお話を伺いました。

鈴木敬大(すずきけいた)
東京外国語大学フランス語専攻5年生
09-10 パリ政治学院 交換留学
How to Protect Yourself では翻訳、拡散、取材等外部対応を担当。
福島乳幼児妊産婦ニーズ対応プロジェクト住宅マッチングチーム長
Twitter:@ktszk

新田香(にったかおり)
東京外国語大学フランス語専攻5年生
How to Protect Yourself ではパッション担当
Twitter:@kaoristory

冨田早紀(とみたさき)
東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻修士1年
(アイデンティティーと国際政治の関係を研究中)
09-10 パリ政治学院 交換留学

— まずHow to Protect Yourselfの活動の概要について教えてください。

鈴木:基本的には地震災害時の緊急対応マニュアルというブログの日本語バージョンがネット上にあがっていたので、それを参考にしながら各言語に翻訳し、配信するという活動です。

— もとになった日本語のマニュアルはどなたが作られたものだったのですか。

鈴木:元々すでに出来上がったものを新田さんがネット上で見つけて、手始めにそれを訳していこう、と始まりました。もちろんブログのブロガーさんには許可をとって。

新田:今一番たくさん情報が載っているのは何だろうと思って。Twitterに「地震のときにこうすればいい」というのがどんどん上がっていたんですけど、それをまとめた記事を検索をかけてみつけました。

— 活動の目的は、どういったものだったのでしょうか?

新田:大きいことをしようとしたわけではなくて。震災は日本人でもパニックになることがあって、でも日本人はたいてい小学校の頃から避難訓練をやっていて、パニックにはなるけど、こうすればいいっていうのは分かるし根付いていますよね。でも、外国語大学にいるというのも大きいと思うんですけど、日本人以外の人で困っている人もいるだろうなって思って。すぐには役に立たなくても、困ったときに自分たちの母国語で対応について書かれている記事があれば、「自分たちのことも気にしてくれている人が少しはいるんだな」と気づいてもらえれば、心の支えになるのではないかと。

鈴木:地震直後ということで直接被災していない僕たちも非常に衝撃的な経験で、やっぱり何かしたいという思いが強かったんですよね。で、自分たちになにができるだろうって考えたときに外国語があるし、外国語を通して人とコミュニケーションがとれるし、すぐに役立つものではないかもしれないけど、長い目で見てあっても絶対損しないからということで始まりました。

— 鈴木さんと新田さんお二人で立ち上げられたのですか?

鈴木:えっと、この点に関しては私たちが立ち上げたとは言っていません。というのもTwitterで始まったものなのですごく流れも速かったんですよね。Twitter上で誰かが「何かいま出来ることしたい」とか「したほうがいいんじゃないか」という流れがある中で、新田さんが、「言ってるだけじゃ…」って。

新田:「何かできるんじゃない?」「何かしよう」って言ってそれに同意する人は多いんですけど、実際具体的なことをしないと誰も動かないと思って。でも私一人じゃ何もできないので、とりあえずTwitterでフランス語科の友人たちに向けて「わたしは今からこれを訳そうと思うんだけど手伝ってくれる人がいればお願いします」という感じで、それで反応が無かったらやめようと思って。でもそしたらすぐ何人も手伝ってくれるって言ってくれたので、そしたら他の言語も言えばやってくれる人が出てくるだろうなって相談してみました。

— ホームページを見たんですが、何十カ国語も翻訳されてますよね。翻訳者の方は自主的に参加してくれたんですか。

新田:分からない…。

鈴木:今の話は始まってからものの数時間で広がったものなんです。

冨田:数珠つなぎ的に知り合いの知り合いの知り合いが…っていう感じで広まったので。私は鈴木さんとは直接つながりがあるんですけど、実は新田さんとお会いしたのは今日が初めてなんです。翻訳者が一堂に会したことはもちろんないし何人関わっているかも知らないし、何人が翻訳したかも知らないし、本当にTwitterで波及的に広まったので全員を把握している人はたぶんいないんじゃないかな。

鈴木:最初こそフランス語で始まりましたけど、フランス語が得意な冨田さんに翻訳できない?って声をかけて、冨田さんは知り合いにいろんな方がいるので、

冨田:十数カ国くらいの知り合いとか知り合いの知り合いとかに頼んで。わたしはパイプ役ですね、自分で翻訳したのは数行ですし。

— じゃあ外大の中だけの話じゃないんですね。

冨田:あー全然違います!国外とかもいますし。ベトナム語をベトナムで翻訳している人とか、色々います。あとFacebookにリンクを載せてたら全く知らないハンガリー人の人から「ハンガリー語に訳させて下さい」ってメッセージがあったり。もはやつながりがないですよね(笑)。

鈴木:サイトを見て下さったフランス人の方とかが「ここ翻訳するよ」とメールくださったり。概算で100名くらいは関わっていると思います。頑張ってくださった方々一人ひとりにお礼を言って周りたい。

新田:有志ばっかりで全く全体像が分からないので。震災翌日の昼からスタートしてその日の夜にはもう20言語くらいはサイトに上がる状態でした。

— そうしていろいろな方が翻訳したものをまとめるのがHow to Protect Yourselfというわけですね。

鈴木:えーと新田さんはパッション担当で(笑)、僕とあともう一人サイトを管理している子がいて僕が基本的に外部とのやり取りを担当するっていう流れだったんですよね。

— 翻訳する言語を選んだ基準はなんだったんだろうと思ったんですが、それは縁があった人だったんですね。

冨田:わたしの後輩でスウェーデンに住んでいた子が、スウェーデン語だったらコネがありますって言っていて、頼んだら他にもスウェーデン、デンマーク、ラトビアと依頼してくれて。実際ラトビア語とか役立つのかっていったら疑問はあるんですけど、でもやれる言語をやることが優先だったので、手が挙がったら依頼しようって。

新田:もしかしたらラトビアの方で地震が起きるかもしれないしね。

鈴木:最初こそ言語に規制をかけようと思ったんです。いわゆる主要言語だけで、20言語くらいになったとき一回締めようって話になったんですけど止まることは無くて。

新田:募集やめますっていうツイートがもう追いつかないので。

鈴木:じゃあいいやって、それならやろうって。

— ラトビア語って、それが正しい翻訳か確かめようがないのでは?

冨田:それはネイティブに頼んだって言っていたので、それを信頼するしかなくて、でもたまに学生が翻訳したものをネイティブの方が見つけて訂正をしてくれたことはありました。

掲載言語の有用性という話に戻るんですけど、例えばラトビア語を掲載することにどれくらい意味があるのかっていうのはあるかもしれないんですけど、たぶん自分の母語を見るだけですごい安心感があると思って。地震直後の対応策だしそのあと見て必要かどうか分からないけど、不安な状況にあるときに自分の母語で書かれているっていうだけで心理的に違うんじゃないかって思ったのもあります。

新田:最初は間違ってもいいと思ってて、誰か気にしてくれてる人がいるというだけでいいと思ってたんで。でも正しいに越したことは無いし、役立とうとネイティブチェックしてくれた方がいたのはありがたいことです。

— コメント欄には訂正だけじゃなく感謝の言葉もたくさんありましたよね。コメント以外にも周りから何か反応はありましたか。

冨田:拡散作業しているときにフランス大使館にこれを広めてくれないかってメールで送ったんです。たまたま名刺を持っていただけであんまり知らないんですけど、そしたら危機対策室みたいなところから在日フランス人のために役立てたいというメールがきて、ちょっと感動しました。

鈴木:あとはたぶんトルコ語だと思うんですけどリプライでありがとうと言われたことはありますね。

新田:私は知り合いのまた知り合いの、奥さまがベトナム人の方から、「職場の外国人の方のためにプリントアウトして使わせていただきます」って連絡がきましたね。

冨田:あとTwitterの利点だと思うんですけど、色々な有名人をフォローできるじゃないですか。そういう人にリプライで「これをRTしてください」って言ったり。オノ・ヨーコさんがRTしてくれたのでそれでバーって広まったり。Twitterを最大限に活用しましたね。

鈴木:オノ・ヨーコさんの他にGLAYの方がRTしてくれたり、あと浜崎あゆみ。

新田:他にも色々有名な方が。もちろん反応してくれない方もいらしたんですけど。みんな慎重になっていたので、そこはお任せして。

— サイトへのアクセス数はどれくらいだったんですか?

鈴木:一番多かった時は11万ですね。まあ末永―く、やっていきたいですね。

新田:勢いだけすごかったんで、盛り上がってすぐ下がる、というふうにはしたくない。ちょっとずつでもいいので、何かあったときに、ああそういえばあのサイトに載ってたなとか記憶の端っこにでも置いていただければって。

— 新しい翻訳の更新など、活動自体はどのくらいから落ち着いてきたのですか?

鈴木:サイト全般に関しては4、5月くらいかな。

— それまで動きが速かったんですね。

鈴木:そうですね。ちょうど計画停電や放射能に対する対応の仕方が各新聞社とかで出てきたときに、それに対応した方がいいんじゃないかって声が挙がったので、それに対応する形でHow to Protect Yourselfとは別のサイトを作って対応したことはありました。そういう意味では4月末くらいには落ち着いてきたのかな。

— もう一つのサイト以外で今後新たな活動は予定していますか。

新田:具体的にどうするとかは決めてなくて、目指したいと思っているものが「いま役立たなくてもいいけど、今後末永く」ってものなので。

鈴木:サイトの特性上すぐに役立つものではないってことと、あとマニュアルなので何か起こったときにどう対応するかっていう予防的な意味合いが強いと思うんですよね。震災後4、5カ月たってこれからは予防も大事なんですけど復興っていうのは個人的に絶対に外せないと思うので、どうやってそれにつなげていけるのかと、サイトをそのまま放置していても勿体ないので、例えばそこから別のアクションを起こし始めるっていうのもあると思うんですけど。いまちょうど悩んでるところなんですよね、新田さん?

新田:そうですねー。わたしたちだけでは…他と連携がとれればそれが望ましいんですけど、学生の力だけでは限界があるかなと。

鈴木:個人的にはなんでもいいと思うんですよ。なんでもいいっていうのは何でもやれるっていう意味で。啓蒙活動をやることも出来るだろうしサイトのネットワークを使って何かできるかもしれないし。

(続く »)

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Written by wakamonoiz

2011年10月6日 at 3:43 PM

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