Wakamonoiz

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学生団体ivote

若い人と政治の距離が近い社会になってほしい。
Kensuke Harada
学生団体ivote:原田謙介さん、遠藤奈穂さんインタビュー

若者の投票率向上を目指す学生団体ivote。2009年の総選挙などで注目を集めた彼らの活動について、代表の原田さん、副代表の遠藤さんにお話をうかがいました。

— 「学生団体ivote」がどんな団体か簡単に教えてください。

【原田】ivoteとは私(I)が投票する(vote)という名前の通りの団体で、2008年の4月から活動しています。目指しているのは20代の投票率をあげることですが、ただ投票率の数字さえ挙がればいいという話ではなくて、投票に行くことで、そこから政治に興味関心を持ったり、地域のことに関心を持ったり、自分の未来のこととか子どもの世代のことを考えたりする入り口になればと思っています。

— 実際にどんな活動をしているんですか?

【原田】まずは、「居酒屋ivote」っていう、居酒屋に学生を40人くらい集めて、国会議員さんを大体5人か6人くらい各党から一人ずつ集めて一緒に飲むっていう企画をやっています。普通の居酒屋で、参加者もスタッフも議員さんも全員3000円で、うちらに儲けはありません。これを今までで7回やっていますね。

あとは「ivoteメールプロジェクト」というのを、去年、今年と二回の国政選挙の時にやりました。なにかのタイミングで投票に行こうと思った人が、ivoteのWEBサイトで「次の選挙、投票に行くぞ」っていう意思表示と、メールアドレスを登録してもらうんです。それで、その登録してもらったメールアドレスに、投票日の朝に「投票に行ってくださいよー」って送り返す企画です。去年は衆議院選挙の時に1400、500人くらい登録があったんですけど、今年はだいぶ減って、参議院選の時に600人くらいでした。何かのきっかけで投票に行こうと思った人の気持ちをもたせたいな、と思ってやってみたんですけど・・・難しいですね。メンバーの人数も増えているし、活動の幅も広がっているはずなのに、結局登録者数が減ってしまったのは、登録者数は活動の成果ではなく選挙自体の盛り上がりに左右されてしまっている、といえるので。

【遠藤】また、「夏政り」(なつまつり)もやっています。どういうイベントかというと、全国各地で投票を呼びかけるイベントです。東京では秋葉原でやって、その時は参加者みんなで浴衣を着て秋葉原の町を一周ぐらい、投票をよびかけるデモみたいなことをしました。地方では地元の学生団体と組んで実施して、2010年は全国で18件しました。東京の秋葉原では60人くらい集まったんですけど、普段は政治のことをやっていない人も、一日「投票に行こう」っていうビラを配ったことで、「投票に行こう」ってしっかり刷り込まれてましたね(笑)

— 様々な活動をなさっていますが、気をつけていることやこだわっていることはありますか?

【原田】イベントごとに違うのですが、基本的にどの企画を通じても、いかに政治らしさ、いわゆる堅さとか難しさというのをなくすかということと、そういうのはないのに来てみればちゃんと政治のことに関心を持ったり投票に行こうと思っちゃったりするっていうのは気にしています。

— 他に「こだわり」があれば教えてください。

【原田】ひとつは、メンバーの全員が学生だということです。理由としては学生がやっているというと面白そうなので(笑)学生から見ても「学生のみの団体」っていいし、社会人の人から見ても「学生が頑張っているなら手伝っちゃるか!」みたいな話になるじゃないですか。あとは同じ立場の人たちのほうが活動しやすいからですね。立ち上げメンバーが社会人になった時、社会人を含む団体にするかどうか話し合ったんですが、まだ自分が学生だったこともあり、じゃあその間は大学生だけでいこうと。社会人は社会人でつくればいいかなということになったんです。

【遠藤】あとは「政治的に中立」というのもモットーに掲げています。例えば、イベントをやる時は、議員さんに声をかけるんですけど、その時は全部の党に声をかけています。
【原田】実は昔、WEBの掲示板上に民主党の団体だって書かれてしまったことがあったんです。本当は違うんですが、立ち上げた時が政権交代の時期で、「若い人は民主党にいれる」といわれていた時期だったことや、俺が民主党の議員さんにインターンをしていたことが合わさって、「民主党の回し者じゃないか」と勘違いされちゃったんですよね。

— そうした勘違いや批判をうけることは多いのでしょうか?

【遠藤】やっぱりivoteをあまりよく思っていない方もいて批判を受けることもあります。もともと政治系の団体はイメージが良くないので、私たちがどんなに政治的に中立だと言っても、偏見をもたれてしまいがちですし、「よくわからなくてもいいから、まず投票に行って、そこから政治に興味を持とう」というスタイルや、学生の身で政治に係わることへの批判もありますね。

— 確かに政治系の団体や政治に対するイメージはあまりよくないかもしれません。そんな既存のイメージに対してどんな対応をなさっているんですか?

【原田】もともと俺がやりたかったのは政治をかっこいいものにすることなんです。政治のイメージが「堅い」とか「難しい」とかってのは当然なんですよ。でもそれだけじゃ面白くないですよね。「ちょっとかっこいい」とか、「気になる」とかそういう要素をつけたいんです。だからこそイベントも政治特有の「堅さ」をなくそうとしてきました。

俺はもう活動し始めてから2年半がたちますけど、今は初期の頃に比べれば反応は格段にいいです。ivoteの名前だけでも知ってくれている人が増えきて、拒否反応を示す人はちょっとずつ減ってきたんじゃないかなって思います。勘違いされてしまったりするのは、ただ単に、ivoteのような、広くインカレ的な政治系の学生団体が今まではなかっただけなんですよ。だから、ivoteが学生や若い人の間で知名度があがることで、政治のことを考えるちょっとしたきっかけを生み出せているんじゃないか、と信じています。

activity

「夏政り」の様子

— 20代の投票率を上げることを目指していらっしゃいますが、そもそも20代の投票率ってどのくらいなんですか?

【原田】この間の参議院選挙の結果はまででていないのですが、3年前の参議院選挙とかだと35%くらいですね。同じ時に60代は75%とか。もともと年代の母数も少ない上に投票率も低いから20代は全投票者数の8%しかいないんですよね。20代の意見は8/100しかとられないというわけです。
国政選挙はまだ20代の投票率って高いんですよ。でも地方選挙、例えば市議会選挙とか市長選挙とかだと20代の人とかは10%とかざらにあるので。そもそも全年代の投票率が3,40%っていうのもあるんですけど、それでも60代は50~60%ですから。地方だと更に投票者数の格差ってひろがっているんですよね。

— なぜ20代の投票率は低いのでしょうか?

【原田】ひとつは、大学生とか独身の社会人とかは今直接政治に影響を受けているわけではないので政治がどうなろうか関係ないからです。例えば結婚して子どもが生まれる時に「妊娠の検査費、高いなぁ」とか「生まれても幼稚園ないよ」とか、そうした経験をして、政治に興味関心をもったりするんですけど・・・。あとは、給料をもらう時に「税金こんなにとられてるのか」という憤って、そこから興味を持つ人もいるんですけど、そういう人も比較的ひとりだとそういう思いが少ないんですよね。

ふたつめは「わからないから」です。社会人の人って自分の仕事や家族に影響する分野とかの政策ってすごい気にするし、知ってる。でも俺らだと「卒業三年間新卒扱いになる」ぐらいなもので、あとはそんなにわかんない。だから投票いいや、ってなっちゃうんです。

あと多いのが、「単純に嫌い」という理由です。政治や政治家に対してずっと良くないイメージが刷り込まれていて、そんなとこにわざわざ一票を出しに行こうと思えないんです。年齢をおうごとに、置かれている立場とかが変わってきて、投票に行かなきゃいけないな、って思うようになるんですが・・・。若い人たちの投票率が先進国で低いのはしょうがないのかもしれません。

— そんな中、なぜ若者が投票に行くべきなのでしょうか?

【原田】20年前だったら、こんな活動、俺、絶対にやっていないなって思うんです。少子高齢化が進んでいて、経済も縮小していく中で、将来が怪しい、こんな時代だからこそ、国会の人たちがちゃんと頑張んなきゃいけない。そして、若い人こそ「俺達がちょっと大人になった時に社会ってどうなるんだろう」、「自分の子どもの世代の時にどうなっているんだろう」っていうのを考えると思うんですよ。その結果、「国外に逃亡しよう」みたいな人も結構いるんですけど、海外に逃亡できるやつなんてそんなにいるわけ無いじゃないですか。だから20代が将来を考えていきましょう、と。

それに、日本型社会の年功序列とか、終身雇用とか・・・そうした「当然の制度」をガラっと変えられるのは、若い人じゃないと、なかなか難しいと思うんです。そこを「変えよう」ってなると、上の人は、もらえるはずだったものがもらえないとか、老後にいい生活ができるはずだったのにできない、とかいう状況が生じてしまいますからね。

— ivoteとしてはそういうメッセージをあらわにしていないですよね?

【原田】やっぱり「政治は堅い」っていうイメージをなくしたいんです。ふわっとした感じで「危ないんだ」っていう伝えて「じゃあ、ちょっと考えようよ」というぐらいの感じを保っています。自分達よりもっと専門的に考えている学生もいるだろうし、そういう方面はそっちにまかせようかな、と。ivoteはそういうののつなぎ役になりたいんですよね。

— 活動していく上でどういった社会になってほしいですか?

【原田】今、環境問題を考えることって当たり前になっているじゃないですか。でも30年前ってそういう状況じゃなかったと思うんです。でも、今は企業も積極的にお金を払って木を植えたりしているような状況で。それって政治も同じだと思うんですよ。
例えば30年後の日本の経済とか、医療費の全額自己負担とか・・・想像つかないじゃないですか。でもそれがそのうちリアルになってくるんですよね。それがリアルになってきた時に、多くの人の頭の隅にちょっとでも政治的なことがある社会になればいいなぁと思います。

【遠藤】私は若い人たちが普段の会話の中でも政治のことをもっと気楽に話し合えるような、若い人と政治の距離が近い社会になってほしいなって思います。いま自分の置かれている状況を把握していて、そのために自分が何をしなくちゃいけないとか、「将来こうなっちゃうから、私たち、これをやらなきゃだめだよね」みたいなことをみんなで自覚できるような社会になってほしい。やっぱり学校でも飲み会でも政治の話にはならないんですよね。就活をはじめてやっと「やばいやばい」ってなるだけで。1,2年生のときからでも高校のときからでもいいんですけど、政治に対して意識を高めてほしいと思います。

(続く »)

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Written by wakamonoiz

2011年5月21日 at 6:11 PM