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リディラバ

しくみの部分とかお金の流れを変えるのも大事だけど、意識を変えるのが大事だよねっていうのがオレの根本的な問題意識。


リディラバ:安部敏樹さんインタビュー

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「社会の無関心を打破する」をテーマに、スタディーツアーを企画運営するなど活発に活動する団体、リディラバ。団体の目指すものについて、代表の安部敏樹さんにお話をうかがいました。

たとえば新宿中央公園にホームレスがいっぱいいるのは知ってますか。知りません、という人はいっぱいいる。なぜ知らないのか。それじたいは大きな問題だと思う。
しかし一方で、いろんな社会的な団体があって、彼らは自分たちの言葉で「もっとみんなこの問題を見なきゃいけない」と言う。ホームレス支援をしている人だったら「ホームレスに対してもっと注目を」って言うだろうし、教育に対して問題意識を持っている人だったら「もっと子どもたちを」みたいに言うだろうし、カンボジアの貧困問題をやっている人たちは「カンボジアの貧困を考えろ」ってみんな言うわけじゃないですか。
それって結局、根本の問題としては、みんなの意識のキャパシティが決まってたらさ、貧困問題が好きな人は貧困のことばかり考えるわけで、現状だったらそのままそれは変わらなくて、誰の声が大きいかの勝負になるじゃない。

また一方で、政治とかマスコミとかメディアとかが悪いという意見もある。なんでああいうのが良くないのかっていうときに、実際にやってることが良くないというのも大きいとは思うけれども、ふと考えてみたときに、メディアって視聴率によって動いてるわけだろ。視聴率ってオレらの人気投票じゃないか。つまり結局、オレらが選んでるんですよね。政治も同じだよね。もっとストレートに人気投票してる。

そう考えると、イノベーションが起きて劇的な技術が生まれたとか、政治のしくみが変わって投票率が上がったとか、そういう部分も大事だけど、根本的にはしくみとか技術が変わるだけじゃ変わらない問題がある。人々の意識のキャパシティの部分を変えなきゃどうしようもないでしょ、というのがオレの個人的な問題意識だった。

いろんなところを見ていると、みんな自分の声を大きくするために工夫をするわけよ。そうすると協力もしづらいし、あんまり賢くないよね。そんなんじゃ世の中変わらないじゃん。だったら人々の意識を変えよう、と。しくみの部分とかお金の流れを変えるのも大事だけど、意識を変えるのが大事だよねっていうのが、リディラバを含めていろんなことをやるときのオレの根本的な問題意識。
リディラバは、当初は、オレが個人で今までやってきたものをガッとまとめて、そういう問題意識に基づいて安部敏樹がやっている活動の集合体だった。

たとえば、今でも残っている性教育の企画があります。
性に関することって、あんまり考えないし、議論もしづらいじゃん。なんとなく恥ずかしくて。でもHIVとかもあるし、もっと身近な部分でいえば、実際けっこう簡単に性病ってかかるわけよ。あるいは望まない妊娠だったり。そういうのって言いづらいんだけど、やっぱり議論しなきゃいけない。
ただ、それを学校の先生が真面目っぽく教えても、そんなに頭に入ってこない。大学生にもなって上から教えられるのも面白くない。だったら面白い入り口を用意して、しかも友達と議論しやすい形で出してあげるのが一番いいじゃん。

そう思って、加藤鷹さんと紅音ほたるさんというAV女優と川田龍平さんという参議院議員を呼んでイベントをやった。最初はくだらない下ネタから入って、たとえばAVでやってる性交渉が正しいのかという話に飛んだりする。あるいは、AV業界はやってることは汚く見せてるけど、実は性病に対してすごく厳しくやってる、とか。検査もすごく厳しいし、ピルだったりゴムだったりっていう話もすごくしっかりする。そういう部分の話ができたら、ネタとして話しながらお互いに知識を共有できるわけじゃん。そうやって広がっていく方が良いだろうって思ってやったりしてたのね。

その一方で、オレ、基本的に旅行が好きなのよ。昔、大学3年くらいの時まで海外でマグロ漁師してたのね。そのマグロ漁をして稼いだ金を全部旅に使って、世界中を周ってたりした。で、ツアーとかよく作ったわけ。
男として、でっかいものにはロマンを感じるわけさ。そこで「ダムはアツい、ダムはデカい、ダム行かなきゃ!」みたいな話になった。行くならみんなで行った方がいいじゃん。どうせだったらダムに関していろいろ勉強した方がいいじゃん。それが2009年の夏前、ちょうど八ッ場の話が話題になる前のタイミングでツアーを作った。

すると、なるほどこれが悪いのねっていうことが分かってくる。
たとえば八ッ場ダムの問題ってさ、国交相の見解と6都道府県知事の見解が完全に逆なのね。ダム継続しましょうっていう人と、ダム中止しましょうっていう人。なんでそんなことが起きるのか。地域住民と政府だったらわかる。根本的に立場が違うし、「私たちの生活を」って言ってる人たちと、「日本を変えていかなきゃ」って言ってる人の意見がそぐわないのは当然なんだけど、でもそうじゃない。お互い立場のある政治家で、知事と一国の大臣っていう関係なのに、なぜか方向がかぶらない。そういう話ってメディアとかでは報道されないけれども、河川法という法律のある制度が明治から変わってなくて、そこの部分に問題の根源がある、ということがやっているうちにわかってきた。

そういう話ってなかなか時間をとってツアーを作るっていう過程をしなかったらオレはわからなかったわけ。だから、これいいじゃん、と。ツアーを作りながら、その過程で勉強しながら、参加した人はそれを知る、学びになる。しかもアポをとったら、普段は入れないところにも入れてくれたりするわけ。建設中のダムの現場とか、ダムの奥の場所とか。そういうの、面白いじゃん。

リディラバを最初作ったころは、ツアー作りと性教育企画のようなイベントとを同時進行でやってた。まあオレがしたいことをしてたって感じだけど。ところが入りたいって人が増えてきたときに「何をやってるの?」って言われて困った。「オレがしたいことをしてるよ」とはさすがに言えない。でも根本の問題意識はここですよ、というのはある。それを言葉にしたのが「社会の無関心を壊そう」というフレーズ。

いろんなものに対して無関心があるでしょ。オレ個人のモチベーションから言えば、自分の問題は考えるけど、知らない誰かの問題に対して怒る人が少ないんだよね、今の社会って。それはすごい嫌じゃん。どうせだったら友達の母ちゃんのお友達の息子とか、その人たちのことも考えてあげたいじゃん。そういうやつが多い社会の方が絶対良いと思うのね。
誰かの問題を自分の問題にして怒れるやつをいっぱい作りたいなと思って、「社会の無関心を壊す」ということを団体のパブリックメッセージにした。しかも、言ってるだけだったら何も変わらないから、具体的なアプローチもひとつ確立させようと考えて、他のこともやるけれども、対外的には基本的にスタディーツアーを作ることにしましょう。と統一して、1年間が経った。

(続く »)

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Written by wakamonoiz

2011年3月17日 at 11:38 PM

Posted in インタビュー