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メンタルヘルス向上プロジェクトa.light

あらゆる人が心の病を予防できる社会を創りたい。
メンタルヘルス向上プロジェクトa.light:石井綾華さんインタビュー
ブログ
Twitter公式アカウント:@a_light_staff

普段、普通に生活しているだけでもニュースや新聞でよく目にする「こころの病」。若者から中高年、老人まで、うつ病や依存症などの精神疾患は重大な社会問題になっていると聞きます。重度の精神疾患は自殺の原因にもなり得ると言われ、厚労省の調査では自殺と精神疾患は強い相関関係があるとされています。
そんな深刻な事態にもつながりかねない「心」の問題。しかし、誰もが持っていて、誰もが当事者であるはずの「心」なのに、病気や社会問題の話になってしまうと、どこか他人事だと感じてしまうことはありませんか?
今回は、心の病の社会問題解決に向けて活動している「メンタルヘルス向上プロジェクトa.light」代表の石井綾華さんにお話をうかがいました。

— まず始めにa.lightの活動の概要と目的を教えて下さい。

先にまずa.lightの根本的な姿勢や思想を先にお話させてもらってから、質問にお答えさせていただきます。

私たちは、普段なかなか考えることの無いうつ病など、こころの病の持つ社会問題について社会全体の現状と対策を捉え、足りないものは何か、求められているものは何かを見つめ、自分たちの立場(「専門家でも当事者でもない現在、健康な若者」)だからこそ発信できる、最善の解決策を構想します。そして、トライアンドエラーを繰り返しながら、20代大学生に求められる形で、自分から進んで楽しく出来る予防事業へと修正し、持続可能な心の病の予防の仕組みを世に創り出し、提供していくこと。これが私たちの使命であり、活動目的です。

カッコよく言うと、メンタルヘルスセルフプロデュース事業の確立を目指しています。

また、そのヘルスケアが出来る若者の輪を広げ、a.lightとともにこころの病の社会問題について考え、当事者の方への正しい認識を持ち、必要があれば正しく接することの出来る人を支援、サポートしていきたいと考えています。具体的なキーワードは「居場所」「4R」「思考の整理」「身近で楽しい」になっています。

最後、質問にお答えすると、現在の活動概要は、その事業準備を様々な面から行っています。居場所の創造を目的にしたカフェ企画の開催、精神科医、経営者、ライフリンク等のNPOや福祉保健局、当事者・家族会など関係機関の方とのお話から、今の社会実態と対策について勉強させていただく活動、NPO法人ETIC.ソーシャルベンチャー・スタートアップマーケット(※)第一期メンバーとしての新規事業設立準備における様々なサポートをしていただいています。

※ NPO法人ETIC. = 20~30代の起業家を支援し、コミュニティ創りや情報発信、ノウハウ提供を通じ、起業家的成長の基盤創りを行っているNPO法人。ソーシャルベンチャー・スタートアップマーケットでは、選抜後、これから立ち上げようとしている事業に対して、支援金や人的サポートなど、様々な経営資源を獲得するチャンスが与えられる。

— 事業ということは最終的にはビジネスとしてやっていくというのが目標なのでしょうか。

はい、ビジネスが自分たちの最大の目的ではないのですが、持続可能にしていくためには必ず資金が必要になってくると思うので、最低限、a.light一本で生活できる程度のお金を得られる事業モデルにしていく予定です。ただ、株式会社にするかNPOにするかなど事業形態についてはまだ決めていません。

— 団体を立ち上げた経緯を教えて下さい。

立ち上げの経緯は、幼いころに私自身が摂食障害で複数回入院したことがあって、精神科の先生や看護師の方からの対応の仕方に疑問を抱いたり、地域の方に偏見を持たれて、同じ病気なのに、癌になったら可哀想だと言われ、精神的な病になったら私と違う人間ね、気持ち悪いわ、など言われてしまうような精神的な病に対する社会の見方に対して、どうしても納得が出来なかったこと、数え切れない程の「なんで?」という怒りを感じた強烈な原体験が背景にあります。それから本を読み、様々な活動を通して、今の精神疾患に関わる社会の問題構造を自分なりに知ったことで、私の立場で今すべきと思う点を見つけ、団体を創設しました。

元患者であり、今は健康である自分としてよく考えるのは、医療の社会的問題は、病気を患ってみないとなかなか自分ごととして捉えにくいものであること、病を持った方の「ここが辛い」「こうしてほしい」といった涙の訴えだけでは、だれも耳を傾けてくれないものだということです。だから感覚値として、気軽な気持ちでいま健康な人が自主的にトライできる予防の手段を設けることで、実体験によって、「こころの社会問題について興味を持てるきっかけ」と「自分の予防ケア」ができる、身近な民間サービスを整えていくことが重要であり、そんなものがあればいいのにと考え始めました。

そして、それは政治や医療、教育など誰かに責任をおしつけるのではなく、何ができるかわからないけれども、今自分から動いてやってみるしかない、今日この瞬間にも依存やうつ病のこころの病で、もともと助けられた命を自ら亡くしてしまう方もいるんだ、という危機感と切迫感によって、意志が固まったのがきっかけです。

— メンバーが集まったきっかけを教えて下さい。

自分が1年生、2年生の始めに学生団体に所属していたことと、東京大学での自主ゼミなどに参加していて、他大学の社会問題に興味がある人とのつながりが元々あったというところで、友人を介して興味を持ちそうな方に声をかけてもらったり、他には、学なび(※)などの多くの学生を対象にしている団体に、立ち上げメンバー募集というメーリスを流してもらい、それで仲間が少しずつ集まってきてくれました。

(※)学なび = 学生団体及び、学生の活動の情報を整理し、世の中に発信する情報プラットフォーム。

— この活動で働きかけたい対象は誰、もしくはどの層になるのでしょうか。

2010年10月の現在は、20代の大学生のうち現在、うつ病など精神疾患に関連する病気をわずらっておらず、日常生活サイクルを問題なく送ることが出来ている健康な方々のうち、
・なかなか友人に悩みを話すことが出来ない、
・上手く気分転換や休養を取ることが出来ず、普段から休むことが悪いことだと考えがち、
・なんとなくいつも孤独を感じている
以上3つの特徴がある方々を主な対象としています。

しかし、最終的には社会のあらゆる人を対象にしたいと思っています。

活動の当初に私が考えたのは、「あらゆる人が心の病の予防をできる社会になればいい」ということだったのですが、それでは対象も定まらず、事業内容がどうしても抽象的な啓発活動になってしまいます。一人の人が個人的にやりたくなるようなプログラムを作るには、年代を絞らなくちゃいけないし、状態も絞らなくちゃいけない。それならまずは20代の大学生、自分たちと近い立場の人たちから小さいモデルを作って、それを社会人や主婦などの層にも広げていこう、ということになりました。

— ブログを拝見したのですが、勉強会や交流会といったFace to Faceのアプローチを重視している印象を受けました。そういったやり方を選んだポイントや経緯を教えて下さい。

アプローチの仕方を選んだきっかけは、自分たちが心の病に対する基礎知識があまりにも無かったので、じゃあ自分たちでまず勉強しようよということで、勉強会から始めたというのがあります。a.lightメンバーであるならここまで知っていて欲しいという資料作成の意図もあり、毎週一人があるテーマについてプレゼンする勉強会という手法を取っていました。それを皮切りに、始めは健康な立場で心の病やそれにまつわる社会問題を語り合える人を増やしていくために交流会を行い、解決を目指していける仲間を増やすことを目指しました。

それを経て、疲れた方でも元気な方も自由にゆるくつながれる、孤独を感じにくい社会を作っていこうという意味でCo-Free Timeというカフェ企画、居場所を創造する企画を始めました。

これらの二通りのアプローチの使い分けのポイントですが、その活動を誰に届けたいかという基準で使い分けています。ちょっとこころが疲れてる人なのか、もしくはとても健康でメンタルヘルスに興味があって一緒に解決していきたい健康者なのか、という対象の違いで使い分けていますね。

— ETIC.のソーシャルベンチャー・スタートアップマーケットに応募しようと思ったきっかけを教えて下さい。

a.lightにはいま何がどこまで足りないのかを知りたいという気持ちがありました。それから私たちの強みは「学生」。それならば、専門家がやりたいと思っていても、利害関係の問題や単純に忙しいといった問題で挑戦できない問題も含めて、専門家そして当事者・家族の方とともに、「世の中を良くして行きたい」という輪をつくり、全員が世を創る一市民であるという姿勢で解決していきたいと思っています。だから専門家がやらないなら私がやる!その方が早い!とエントリーしました。そうでもしないと、自分の意思が本当の意味では固まらないと思ったので。でも正直、受かったと聞いて拍子抜けしました(笑)。まだまだ未熟な点ばかりの団体なのに、え!いいの?って。でも、結果受からせてもらったことで、決意は固められました。何がどれだけ足りないかがよくわかり、未熟な点ばかりだということも痛いほど再確認できました。でも、それでも支援してくださるサポートが得られるなら、準備に費やすのでなく、喜んで前に進んでもがいていきましょう、と。

— ETIC.に応募した時はa.lightはどういう段階だったんですか。

エントリーが5月だったんですけど、それは私たちがようやくメンタルヘルスについての勉強会が終わったという段階でした。勉強会が一段落ついた時点で、勉強をしてインプットをしていきたいメンバーと、社会に価値を出したいメンバーで方向性の違いでかなり揉めてしまって、最終的に社会に価値を生み出す団体になろうということになって、反対する人たちには抜けてもらったんです。せっかく同じメンタルヘルスについて考えられる仲間を得たのに、その人たちを切らなくてはいけないというのがすごく辛くて、切った以上は腹をくくってやらないと辞めていったメンバーに申し訳ないと思い、それがETIC.に応募した契機になったというのもあります。

— メンタルヘルスや心の病に取り組んでいる学生団体は少ないと思いますが、ロールモデルが無い中での苦労や工夫はありますか。

私が設立前、2010年1月に確認した段階で、メンタルヘルスの問題に取り組んでいるところは一つも無かったので、それが立ち上げてみようというきっかけ、原動力になった部分もあります。

ただ、私たちはそもそも学生団体としてやろうとしているわけではなくて、どうやって社会に価値を生み出すか、困っている人に本質的な価値を提供するかっていうことをベースに考えているので、学生団体に手本が無い、学生団体では最初、ということについては特に意識してはいません。いかに学生として見られないために活動するか、一人の社会人として見てもらえるようになるかというのを重視しています。ロールモデルということで言うなら、特定のどこかを手本にするというよりは、いろいろな団体、人の良い部分を参考にして組み合わせていきたいなと思っています。

(続く »)

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Written by wakamonoiz

2010年11月16日 at 12:01 AM

Posted in インタビュー