Wakamonoiz

Make a noiz. Make a difference. 社会問題に取り組む若者たちの姿を伝えます。

静岡学生NGOあおい

身近な問題もカンボジアの問題も、どちらも同じように重大な問題だと思っています。

静岡学生NGOあおい:齋藤拓海さんインタビュー
公式サイト
ブログ

静岡県立大学を拠点として活動する「静岡学生NGOあおい」は、カンボジアの児童買春問題に問題意識をもち、現地の支援と日本国内での啓発に取り組む団体です。
2010年6月に行われた「あおい」主催「Let’s ちょっと Chat!」という国際協力フェアにあたり、代表の齋藤拓海さんにお話をうかがいました。

—— 「あおい」という団体が行っている活動の概要を教えて下さい。

基本的にカンボジア及びアジア全体での児童買春の被害者を無くそうというのを目標に掲げていて、そこにつながる活動が主になっています。

今、一番中心に据えている活動は雑誌出版のプロジェクトです。このプロジェクトは日本国内で児童買春について啓発する内容の雑誌を出版し、その売り上げの半分をカンボジアの提携しているNGOに送って現地でプロジェクトを行ってもらい、残りの半分を次回の雑誌の制作費用に当てるという形でやっています。この雑誌を一昨年と去年の2回出版し、今年もこれから第3号の制作に入っていくところです。

もう一つは「Let’s ちょっと Chat !」というプロジェクトがあります。このプロジェクトは雑誌出版よりもずっと前からやっていて、今回が5回目になります。この「Let’s ちょっと Chat !」は、まだあおいとして単独でプロジェクトをやるには力不足だった時からいろいろ試行錯誤しながらやっていたプロジェクトの一つなのですが、日比谷公園で年に一回グロ-バルフェスタがあるように、静岡でも国際協力に携わっている若者の姿を発信し、国際協力の輪を広げていけたらいいなという思いでやってきました。イベント誕生当時の、静岡の人が国際協力に触れる機会を増やしていこうという目的を受け継いで今も年に一回開催しています。

他には、今年は実施するかまだ決まっていないのですが、BRAVURA(ブレビューラ)という高校生のチャリティコンサート団体をサポートする活動があります。これは第1回の「Let’s ちょっと Chat !」に参加した高校生の女の子が、自分の好きな吹奏楽で国際協力をしたいということで始めたチャリティコンサートなのですが、「あおい」としても静岡の高校生たちが国際協力をしたいという気持ちを手助けしていけたらいいと思い、今まで年に一回コンサートのサポートをしてきました。これも重要な活動の一つです。

他には、夏と春にカンボジアの現地に足を運んでいます。提携しているNGOの事務所に行って、契約のことや実施してもらったプロジェクトについて話をしたり、また現地のJICAの事務所や、他のNGO団体、特に児童買春問題に関わりのある団体を訪問し、日本では集められない情報に触れて勉強したりしています。これは自分たちの活動を見直していくのにも役立ちますし、雑誌の記事のための取材にもなっています。

—— なるほど。高校生のチャリティコンサートも「Let’s ちょっと Chat !」ということで、「静岡でも学生の国際協力を広めよう」という狙いは形になっているんですね。

そうですね。ただ、BRAVURAを始めた方は第1回の「Let’s ちょっと Chat !」に来てくれた方なのですが、2回目以降は具体的な動きが出ていないのが課題ですね。

—— メンバーの構成と日常的な活動頻度について教えて下さい。

人数は、1年生は未確定ですが、2年生が18人、3年生が7人です。3年の冬に引退なので、4年生で活動している人はいません。ただ、ときどき院生で活動を見にきてくれる人はいます。基本的には2年生と3年生で活動していて、これから1年生も巻き込んで雑誌を作っていけたらな、というところです。

普段の活動は、部署が5つくらいに分かれていて、また、イベントを実施する時は普段の活動とは別に有志を募って企画し、イベントの直前になると毎日活動にかかりっきりになります。そのような部署ごと、グループごとの活動を含めると、週に2、3回は活動していると思います。メンバー全員が集まって話し合いをする時間は週に1回、2~3時間ほどです。日本での活動の中では、この定例会を一番、重要視しています。

—— 児童買春を減らすというのを主な活動に据えていますが、そういった活動を通してあおいが目指している、あるべき社会の形というのはどういうものでしょうか。

あおい全体で掲げている理念としては「アジアの子どもたちが自らの意志と努力によって将来の可能性を広げ、より多くの人々が幸せを実現できる社会環境の構築に貢献する。」というものがあります。

理念にもあるように、あおい全体で引き継いできてる、目指している社会の形というのは、アジアの子どもたちに目を向けて、その子どもたちが自分たちの気持ちや努力によって、将来の可能性を広げて、掴んでいけるような社会であったらいいな、と考えています。

—— なるほど、アジアとくくっているのは何か理由があるのですか。

アフリカや南米での活動というのも設立当初は考えられていたようなのですが、学生なので普段から現地に行って何かをできる場所ではありません。それよりはすぐに行けて、情報が集めやすい地域で主に活動するべきだろう、と。また、自分たちもアジアに住んでいる人間の一人ですから、自分たちの住んでいる地域から良くしていくべきだろうということを考えて、アジアを対象とすることになりました。

—— そのような理念を達成するためのあおいの役割として児童買春というテーマを選んだわけですね。

そうですね。児童買春というテーマを選ぶまでにも、設立メンバーはかなり時間をかけたようです。僕が入学して新歓で話を聞いた時は、「自分たちの心のフックに一番引っ掛かったのが児童買春問題だった。」という説明を受けました。

—— さきほどの「Let’s ちょっと Chat !」のお話の中でも静岡での学生団体の活動や交流を活性化させたいという狙いがあるとおっしゃっていましたが、静岡にいることで感じるメリットやデメリットはありますか。

メリットについては、僕が静岡で生まれて、静岡を出たことが無いということもあって、他の地域と比べて良いところというのは分からないのですが、デメリットはいくつか感じます。静岡は大学の数が少なく、東京などに比べると学生の数も少ないので、こういう活動をしようと思っても数が集まらなかったり、ネットワークを作ろうとしても狭い範囲で終わってしまいます。今日の「Let’s ちょっと Chat !」に参加して下さっている団体のいくつかは東京からお呼びしていますし。もっと情報や人が静岡に集まってくるようになれば、このような国際協力に取り組む団体も増えてくるんじゃないかと思います。

また、情報を集めたり勉強をしたりするために、児童買春問題を専門に取り組んでいる方の講演会や、NGOのイベントなどがあれば、足を運ぶようにしているのですが、そういうものはだいたい東京で開かれることが多いので、時間的、金銭的な制約があってなかなか参加することができません。このように、つながりを広げる、情報を集めてる、ということに関しては、静岡では限界があると感じます。

—— しかし、数が集まらないといってもあおいは団体の中の人数はけっこう多いですよね。

そうですね、団体の数が少ないので人を取り合ったりということは無いですが、ただ、今年の新歓は意外と不振なんです。

—— 2年生は18人いらっしゃるということですが、去年は上手くいったんですか。

そうですね、去年は新歓用に作製したビデオが良かったみたいです。ただ、ビデオが良かったという情報が大学内に広まってしまって、今年はどの団体もビデオのクオリティが上がって競争が激しくなってしまったというのもあるんですよね。

静岡県立大学には国際協力以外の社会貢献系の団体もけっこう数があるんですよ。今年の新歓は他の団体とに人を取られてしまいました。

—— ちなみに、去年の新歓用のビデオはどのような内容だったのですか。

CMのような感じで、カンボジアの現地の子どもたちの写真を流しながら、心を打つようなテロップを入れ、感動を誘うようなものをつくれていたんでしょうね。

—— では次に『かぼちゃ』(あおいが発行している雑誌)についてうかがいたいと思います。発行の主要な目的は提携団体に収益を送ることなのですか。

『かぼちゃ』の制作を最初に考えた時は実は誰もが手にとれるフリーペーパーを作る予定だったんです。しかし、予算などを考えるとフリーペーパーにするのは無理だと分かり、それなら内容をもっと濃くしてお金を出して買ってもらった方がいいし、お金を出してもらうのなら現地の支援にもつながる方がいいよね、ということで有料の雑誌を作ることにしました。今は現地を支援するために、集まった収益金を送るのも大きな目的になっています。しかし、一番の目的として当初に考えていたのは、カンボジアで起きている児童買春の問題を日本で多くの人に知ってもらおうということです。

—— では、どういった人に『かぼちゃ』を読んでほしいですか。また『かぼちゃ』を読んだ人にはどういう変化を与えたいですか。

読み手を限定するような内容で書いてはいませんが、僕たちとしては同年代やもっと若い高校生の人たちに読んでもらえると嬉しいです。僕たちの同年代、大学生や高校生がこれから社会を担っていくわけですから、そういう人たちがこういう問題について知識を持ってくれると、これからの社会により大きな変化を与えていけるんじゃないかなと考えています。読んでくれた人に具体的にこれをやって下さいというような内容ではないのですが、個々の読者の方に児童買春問題をはじめとする、社会や世界のいろいろな問題について考えてもらって、自分なりのアプローチや考え方を持つきっかけになったら嬉しいと思っています。

—— 静岡の学生団体である「あおい」さんがカンボジアの児童買春問題に取り組むのはなぜなのでしょうか。どういう意味があると捉えてらっしゃいますか。

児童買春の加害者、買う側の人間はツアーという形で途上国に行っている先進国の人間が多いので、そういう意味では先進国である静岡、日本で児童買春問題を訴えて、自分の周りでもそういう問題が起きてるのかもしれないことを伝えていくことは重要で、カンボジアにも良い影響が与えられるのかなと思っています。

個人的には、あおいが静岡にいながらカンボジアの問題に取り組むのは、僕はそんなに不思議なことではないと思っています。よく「身の周りにもっと取り組むべきことはあるのに、なぜカンボジアのことをやるの」と聞かれることもあるのですが、自分が気になったこと、なんとかしたいと思ったことに対して、自分なりにアプローチをすることには意味があるし、アプローチしていくべきだと思っています。そこで、「つらい思いをしている人たちがいて何かしてあげたいけど、カンボジアという遠い国の問題だからどうしようもない」と思ってやめちゃうようだとダメだと思います。

—— 距離で差別をつけたくないという思いもあるわけですね。

そうですね、身近な問題もカンボジアの問題も、どちらも同じように重大な問題だと思っています。なぜカンボジアの児童買春問題に取り組むのかと言われると、自分が取り組みたいと思ったから、としか答えられないですね。

—— 自分の身の回りの問題に取り組むのと、カンボジアの問題に取り組むのとで違う点としては、活動した成果が見えにくいというのがあると思うんですよ。成果が見えなくても頑張れるならよいのですが、自分が活動した結果、何かが変わっているというのが見えにくいと感じることはありませんか。

そうですね。なかなかパッと「これをやったからこれが変わりました!」とはならないので、団体の中でもモチベーションの維持が難しいというのが問題になっていたりはします。カンボジアの子どもたちのことを第一に考えて活動していこうと普段から意識していますが、自分たちだけでやっている雑誌の出版や「Let’s ちょっと Chat !」などの活動のフィールドは日本国内のローカルな場所が主になっています。だから、自分たちのやっていることに対する周囲の反応や、雑誌の販売部数などに対する手応えは、他のメンバーも感じながらやっていると思いますが、ただ、やはり現地での成果となると、提携しているNGOの「こういうプロジェクトをあなたたちの出資してくれたお金でやりましたよ」というレポートが送られてきたのを見て、カンボジアの子どもたちのためになったんだなと思うくらいですね。

—— そうすると、やはり児童買春の問題を直接解決するというよりは、日本国内において問題をアピールしていくことに手応えを感じることが多いんでしょうか。

そうですね。特に児童買春の問題は表に出てきにくいところがあります。具体的な被害者の人数が分かるわけではないですし、どのくらい被害を減らせているのかもつかみづらい。だがら、自分たちの活動によって実際にカンボジアで児童買春が減ったというのを実感するのは、やはり難しいですね。

—— カンボジアで提携している団体は主にどういった活動をしているのでしょうか。

児童買春問題に対するアプローチには事前に被害に遭うかもしれない子どもたちに啓発する方法と、被害に遭ってしまった子どもに保護施設などでケアをする方法があります。

僕たちが提携しているNGO団体は事前の啓発活動を主にやっています。普段から学校を訪問して授業をしたりしていますが、あおいが出資したプロジェクトでは、近隣の小中学校から1000人くらいの子どもたちを集めて啓発のワークショップを実施しました。また、出資するかどうか現在検討中ですが、各学校に児童買春に反対する生徒のグループを設置し、その生徒たちから他の生徒たちに知識を広めてもらったり、地域のイベントに参加して児童買春問題について訴えてもらったりする、という、1年くらいの長期スパンのプロジェクトがあります。今まではワークショップなど単発のプロジェクトに支援していましたが、今後はより継続的な活動ができるようにと考えています。

—— 提携先の団体はどのような経緯で選んだのでしょうか。

僕があおいに入る直前に提携団体が決まったのですが、春、夏の現地研修というのを提携する団体が決まるよりも以前からやっていて、提携先の団体が決まったのはあおい設立から2年目、2008年の春のことで、4回目か5回目の現地研修の際に決まったと聞いています。

提携団体ができる前までは「Let’s ちょっと Chat !」を開催しながら、児童買春について勉強して、現地で提携する団体を見つけようというスタンスで活動していました。

—— 現在の提携団体を選んだ理由はなんだったんでしょうか。

研修の際にとにかく現地のいろいろな団体をたくさん見て回って、その中から決めました。

カンボジアにはすごくたくさんNGOがあります。カンボジアはすごく遅くまで内戦の影響がありそれがようやく落ち着いたのがちょうどNGOが制度として世界的に確立された時期だったため、復興のためにNGOがたくさん入ってきました。そのため社会の中でNGOの信頼度が高いんです。カンボジアの人たちは何か問題が起きた時に警察よりNGOを頼る方がずっといいと言うくらい。それくらいNGO文化が盛んで団体の数も多いので回るのにも時間がかかりました。ときには、いいじゃないかと思った団体がいざ連絡してみたら全然活動していなかったりということもありました。

そうやっていろんな団体を見ながら今の提携団体であるChiledren’s Committeeに決めました。彼らは、子どもの権利を中心に活動している団体でその中で児童買春問題にも取り組んでいます。

—— Chiledren’s Committeeは児童買春問題に限定して取り組んでいるわけではないのですね。

彼らは子どもの権利問題全般を扱っています。ただ、僕たちが出資するのは児童買春問題に関する活動に限っていますね。

Children’s Committeeを提携団体に選ぶ決め手になったのは、いろんな団体を回るなかで、一番友好的で自分たちの話をしっかり聞いて下さったということと、構成メンバーが若かったということです。僕たちが訪問した当時、彼らは現地の大学生で今はもう大学を卒業してこのNGOに就職しているのですが、自分たちと同年代の人たちが活動しているから、よりシンパシーが感じられましたし、お互いに団体として成長していけるんじゃないかという思いもありました。せっかくお金を集めて現地に送っても、大きい団体の場合はお金の使い道の報告を細かくもらえません。日本では、自分たちの理念をしっかり決めて活動しているのだから、カンボジアの現地でも自分たちの気持ちが反映されるようなプロジェクトをやってもらいたいと思っていました。団体の規模はそれほど大きくないので一長一短はあるかもしれませんが、自分たちと同じ目線に立って話せる人たちの団体を選びました。

—— 他の団体にないあおいのユニークな点、また今抱えている課題などはありますか。

他の団体にない持ち味というのは、他の団体とのつながりがあまり無いというのもあって、ちょっと分からないですが、課題はあります。

あおいは2005年からスタートして今年で6年目になるんですけど、設立メンバーたちは創立期に5年間の達成目標を立てていました。それはさきほどお話しした、自分たち単独のプロジェクトを行うということと、現地で提携するNGOを決め、資金を援助して実際にカンボジアでプロジェクトをやってもらう、という2点です。その2点の目標は5年間で達成できたので、設立メンバーの方たちは「あおいは成長した」と思ってくれていると思います。しかし、5年間の大きい目標がクリアされてしまった現在、新しい長期的なビジョンを考え、これからどう成長していくかというグランドデザインを描かなくてはいけないというのが課題です。やはり、3年で引退になってしまうというのがネックになっていて、児童買春のことやカンボジアのことが分かってきたと思う頃に活動が終わってしまうんですね。自分たちの知識が足りないと感じている中で、これからカンボジアの児童買春を無くすために自分たちはこうなるんだ、というのを決めるのが難しいですね。

—— 3年間でビジョンを形にするのはなかなか難しいと。

そうですね。僕自身もやっとある程度の知識が付いてきたと思っている段階なので。

他の今後の目標としては、会員数の目標を定め、何年かで一定数まで増やしたいです。今は会員制度がないので、支援者の方からの寄付という形では活動しておらず、確定した収入源が無いんです。しかし、毎年やるプロジェクトや現地でやるプロジェクトは固まってきているので、それは確実に実施していきたいです。そのために定期的にお金を出して下さる人たちをそろそろ作っていかないといけません。

—— 今は収益源が不安定なのですか。

そうですね。この「Let’s ちょっと Chat !」も屋外で開催するためにテントを借りる費用がたくさんかかってしまい、助成金も申請したのですが、そのうち一つがもらえなかったして、どうしようかと悩んでいるところです。助成金は申請が通るのか判断し辛いところがあるので、やはり不安があります。自分たちの持っているお金の中でイベントができるようになればそれが一番なのかなと思います。

(続く »)

Advertisements

Pages: 1 2

Written by wakamonoiz

2010年10月28日 at 11:19 PM

Posted in インタビュー