Wakamonoiz

Make a noiz. Make a difference. 社会問題に取り組む若者たちの姿を伝えます。

メンタルヘルス向上プロジェクトa.light

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心の病は誰でもなり得るもの。
自分とは違うなんて思わず、同じ人間だと理解しよう。

– メンタルヘルスの分野に関して今の社会に足りてないことってどんなことだと思いますか。

心の問題を解決する上で今の社会に不足しているのは六つあると考えています。

一つ目は当事者意識、誰だっていつ病になるか分からないということや、病になったらどれだけ困るかっていうことのリアリティを感じる機会が全く無いこと。

二つ目は、病についての基礎的な知識とか病を持つ方に対する適切な接し方を学べない、学べる環境が無いということ。

三つ目に、健康者でも医療問題に取り組むことができるという認識が不足していること。医療問題はなんらかの資格が無いと取り扱えないという先入観があるんじゃないかと思います。

四つ目に、社会問題としてのこころの問題を解決しようとしている健康者と当事者と専門家の人の輪、情報交換をできる場がなかなか無いということ。同じ方向を向いて一丸となれる機会が無いので、それぞれの経験や研究を基に私はこうして欲しい、私はあれをすべきだというのがバラバラに主張されるだけの環境になってしまっています。

五つ目に、専門家からの予防面でのアプローチが、リテラシーの教育とか専門機関、病院への誘導しか無いこと、今病気を持っていない人に対して普段の日常生活上で行えるアプローチが出来ていないということです。今、精神科医の先生の中でも、いま健康で病気を持っていない方への予防ケアをしようとしている団体はあるんですね。どういうことがされているかといったら、少しでも予兆のある人はまず、病院に連れて行こうとか、後は正しい知識を提供するために保健体育の中にメンタルヘルスを入れよう、というようなことなんですけど、でも、一番大事なのは、自分たちが実生活の中で何ができるか、ということだと私は思っていて、そこに目が向けられていないのは残念だなと思いますね。

最後に、こころの病に関する実態があまり調査されていないので、実態データが無い以上、適切な対策は何かというのが考えられにくい現状があると思います。

– 活動において予防を重視しているのはどうしてですか。

やはり、自分たちは専門家ではないのでできることが限られてしまうというのがあります。治療ができない存在なので、良心を持って、今病気を持っている方に何かをしたいと思っても、逆にその人の病気を深めてしまうという可能性も十分考えられます。その時に自分たちが責任を負うことはできないので、自分たちにできるのは健康な人がずっと健康でいるためにはどうすればいいのかを考えることが精一杯じゃないかなということで予防を重視しています。

それに、社会を構成しているのは、やっぱり健康な人の方がとても多いので、健康なうちから病の予防を意識できるようになる人が少しずつ増えていって、はじめて精神的な病への理解が得られて、偏見が減っていき、精神的な病を持った方も生きやすい社会になるんじゃないかと思っています。

– Co-Free Timeについてですが、コンテンツの枠をあえてしっかりと決めないで、参加者の自由度が高いイベントだと感じたのですが、参加者にこれを感じて欲しい、こういうものを得て欲しいという狙いはどういう点にありますか。

a.lightが行っているCo-Free Timeのコンセプトというのは、いつも強がらなくてはいけない境遇にあり、普段から休むことが悪いことだと考えがちな人、なかなか友人に悩みを話すことが出来ない人たちに、何か落ち込んで不安でどうしようもない時、誰かに愚痴や悩みを吐き出したい時、なんとなく孤独を感じていて誰かにそばに居て欲しい時、そんな状況の時に、肩肘張らずに自由に来れて自由に帰れて、何もしなくて居ていいんだよという居場所を用意して待っているというのが狙いになっています。

こういう環境を持てる学生が増えることで、一旦休憩してちゃんと自分と向き合えたり、自分が幸せだなと思える未来を目指す人、自分のコミュニティに戻った時にいつも通り自然体で過ごせる人が増えてくれたらいいなと私たちは思っていて、そのための一旦休める居場所を用意したい、というのが私たちの狙いです。

– 参加者の自由度が高いと、場の雰囲気などが主催側でコントロールしにくい部分もあるんじゃないかと思ったのですが、そういった点で難しさはありますか。

始めは狙いというものを話さなかったので、ネットワーキングで来てしまった社会人の方もいました。でもそれは違うので、ブログの中でここはネットワーキングの場でないと分かるように、ここは休む場ですというメッセージを伝え、一定の決まりごとを明記するようにしました。後はCo-Free Timeが始まる前、自己紹介をしてもらう時にリラックスできるあるワークを行って、ここはネットワーキングの場ではなく、ここは肩肘張らないで良いんですよ、自分のリラックスのために自由に時間を過ごして大丈夫ですよ、ということを先に理解してもらうようにしています。

– Co-Free Timeは定期的に開催されていてa.lightの活動の軸になっているのかなと感じたのですが、定期的に続けているイベントがあることで見えてきたことはありますか。

Co-Free Timeを続けていて、社会にはこれが必要なんじゃないかなと仮説で思い始めているのは、きちんと休養を取る時間をあらかじめなんらかの形で強制的に設定してしまうということです。それは難しいことだし、間違った考えなのかもしれないのですが、例えば毎週日曜の午後は自分の好きなことをする時間にしようというのを自分に約束できる人が増えていけばいいなと思っています。Co-Free Timeみたいに、週末の夜2時間とかいつも決まった枠の中で、対面上でだれかとなんでもない話ができたり、特に話はしないんだけど近くでゲームしてるなど、ゆったりできる自由時間を過ごせる人が増えていけば、ありのままの自分に戻れる瞬間が出来るので、自分自身のペースを取り戻せる人が増えていくんじゃないかと思います。

一回、いまの自分をまるごと受け入れる時間を持って、しっかり休む時間を持とうよ、それから悩もうって思うんです。それが出来れば、もっと前向きに悩めるはずだし、一旦休んだらもしかしたらひらめくかもしれないと。休むことが良くないこという固定観念があるんじゃないかと思っていて、それを変えていきたいと思っています。

– 専門家ではなく学生だからこそできることや強みはありますか。

そうですね、時間があることと、ある程度、失敗が許容されやすいというのが学生の強みかなと思います。

まず時間があるというのは、予防事業を構築するために、ボランティアから試行し、それを収益化させるための準備に多くの時間を費やすことが出来ることです。そもそもこの活動が社会にとって本当に必要なのかを何度も問い直せる余裕もある。継続化させるためには収益性を持たせることが不可欠です。しかし、主な目的はそこにはないので、現段階では、収益性をある程度無視し、多様なアプローチを行っていくことが出来ます。

次にある程度の失敗を許容してもらいやすい、大人からの失敗を防ぐためのアドバイスやサポートをもらいやすいため挑戦しやすいのが学生の特権なのかなとも思います。その権利を生かして、あればいい、やってみるべきだけどトライするのには非常に勇気がいるといったことに挑戦できるのが「学生主体」を活かす最大の利点だと私は思います。

でも、失敗は出来る限りしない心構えも当然必要だと思います。

– 活動を通じてどのような社会を実現したいですか。

実現したい社会は、健康者の人たちが心の健康を整えることができる社会を作りたいなと思います。予防というのは、やるべきとか、やった方がいいという考えになりがちだと思うんですけど、そうではなく、やりたいから予防をする社会にできたらいいなと思っていて、それによって心の病に悩む人に対する理解が広められるような社会ができたら私たちは本望だなと思います。

– 団体内で具体的に担っている役割について教えて下さい。

主宰(代表)として、自分が主にやっていることは未来を描くことですね。こういう社会になったら美しいよね。こうしたらいいよね、もっとみんなハッピーになるよねというものをいかにリアルに視覚的に描くかを一番重視しています。それを期限をつけて、数値目標をたてて、どうやって具体的に実現させていくかという目標設定をしたり、事業構想を練るのが一番重要だなと思っている役割です。

他には、具体的な活動を回す中で、活動の全体像をメンバーに見せることも役割の一つです。今これに取り組んでるんだよという全体像を見せて、10ある内、6は私がやるから4手伝ってくれないかなとか、これやりたくない?とかを伝えて、みんなでやっていくということをしています。メンバーには、a.lightだけじゃなくて英語弁論で世界大会に行くメンバーとか、英治出版でアルバイトしているメンバーなど、いろいろ忙しい人も多いので、それぞれのスタンス、a.lightにどれだけ関われるか、a.lightで何をしたいか、という話を始めに聞いておいて、「じゃあ、これをやったらどうかな」という提案を私がして一緒にやってもらうというのも、いろいろな活動を回していく中での、私の役割ですね。

– 身近な人が心の病にかかった、かかりそう、そんな人に何かメッセージはありますか。

まず、心の病は誰でもなりうる病気なんですね。なってみて初めて気づくものだとは思うんですけど、別種の人間だからなるわけでないんです。ほんとに同じ人間。昨日まで一緒に笑ってて、すごく楽しそうにしてた友人が実はうつ病だったっていう経験が私もあったりします。うつ病だからというのはなくて、普通に友達として接していくのが一番だと思います。

ただ、元気がなかったり、自分のことを責めたり、普段なら考えられないようなことまで口に出してしまっているという時には、変に慌てたりせずに、今その人のそのまま、あるがままを受容してあげて欲しいです。

ちょっとまずいかもと思ったら、学校の相談室や専門家に相談してください。適度な距離でそばにいる友人というのは、医者と同等にそれ以上に大切な存在です。

– 活動を通じて、石井さん自身が変化した点、また将来の展望への影響などはありますか。

高校3年生のときまでは、自分でこういうことをするタイプでは全くなくて、人の後ろをついて歩くような、リーダーはあまりやらないタイプの人間でした。でも、切迫感を感じて、自分がやらないといけないということを経験上感じる機会がたまたまあって、何が出来るかわからないけど、とりあえずやってみようと思った瞬間から自分が変わってきたと思います。人の前で自分の意見が言えるようになったというのも大きな変化ですし、次の段階として、自分がやりたいんだということを通すだけでなくて、複数人とやっていかねばならない状況になったときに自分がやりたいことと、周囲の人がやりたいことの折衷案を上手く作っていくというのがだんだんできるようになってきたと思っています。そこは自分自身が成長してきた点かなと思います。でも、本当にまだまだです。(笑)

– 同世代の若者にむけて伝えたいことはありますか。

思ってみたら近くにあるのがこころの病である、ということを一番に伝えたいです。身近にあるものでもあり、罹ってしまうと死に陥ることも大いにある危険な病なので、もし友人や家族がうつ病になってしまった時に、気づいてあげるためにも、ちょっとでもいいから、メンタルヘルスについて知る機会を持って欲しいと思います。今この瞬間に、家族や、恋人、友人たちが、気づかないような小さな声で、あなただけにSOSを発しているかもしれません。その時には、今その人のそのまま、あるがままを受容してあげてください。

そして、あなた自身が健康のままで生き続けるためにも、ゆっくり休む時間は大切にしてください。

2010年10月20日 池袋にて収録

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Written by wakamonoiz

2010年11月16日 at 12:01 AM

Posted in インタビュー

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